西宮市では2022年から「指定ごみ袋制度」が導入されている。
それにあわせて登場したのが、市の花・桜をイメージした“もやすごみ用”と、西宮の海を思わせる青い“その他プラ用”の、ちょっとかわいらしい2種類のごみ袋。
市民の間でも「ごみ袋がオシャレ」「なんだか捨てるのがもったいない」といった声も聞こえてくる。
このごみ袋をデザインしたのが、西宮市を拠点に活動するデザイナーの樽井研二さん。
そんな樽井さんに、デザインした時の様子などをお聞きしてみた。
アートの視点で「ごみ置き場を変える」
「日常で誰もが使うものだからこそ、親しみがあり“西宮らしさ”を感じるものにしたかった」と語ってくれた樽井さん。
当時勤めていた制作会社では「GARBAGE BAG ART WORK(ごみ置き場をアートに)」というプロジェクトがあって、その考えを西宮市でも展開したいと考えたという。
実はデザインの公募が始まるより前、市がゴミ袋の有料化を考えているということを知った時に、担当部署にゴミ袋のデザインについて提案にいったという。
「これから公募するから、改めて応募して欲しい!」という担当部署の動きを知り、改めて公募に参加した。
市の花である桜を桜色で、海に浮かぶヨットを青で描き、地域の象徴を表現したデザインが、総応募数145作品の中から正式に採用された。


「さすが西宮!」と言われたデザイン
制度導入後、西宮市環境局から「ごみの量が減った」と報告を受けた樽井さんは、「少しでも役に立てたのならうれしい」と語る。
樽井さんがゴミ袋にデザインをした後、印象的だったのは、枚方市での交流会での出来事だったという。
ごみ袋をデザインしたことを話すと「今度西宮に行ったときに“ごみ袋のデザイナーと知り合いになった”と自慢します」と言われたことだったそうだ。
また、他市の市民から「さすが西宮!とても可愛いデザインのゴミ袋!」という声も聞こえてきている。
そして「実は、ゴミ袋のデザインをしたんです!」というと、その相手が市民の場合「いつもお世話になっています」と言われることが多く、それが何よりの喜びだという。
2026年度から「ごみ出しルール」が一部変更に
そんな市民の暮らしに寄り添ってきた指定ごみ袋だが、2026年度(令和8年度)から、ごみ出しルールや回収の回数などが一部変更となる予定。
変更の一つが、現在はコンテナに入れているペットボトルが、来年からは青色の「共通指定袋」に入れて出さないといけないことになる。
「住んでいるマンションでは、ペットボトルはコンテナで回収されていますが、つぶさないままのペットボトルが出されることもあり、コンテナが溢れている状態を時々見かけていましたが『共通指定袋』の使用が義務付けられることで、ゴミのボリュームも減るのだはないかと思っています。」と樽井さん。

デザインでつながる地域と未来
今回のごみ袋のデザイン提案には、「西宮らしさ」を表現するため、最初は桜や甲山、酒蔵、そして海といった西宮を象徴する風景をモチーフに考えていた樽井さん。
最終的には、桜と海というシンプルかつ象徴的なデザインに絞って応募し、採用となった。

「他市から“さすが西宮”という声が届いた」と聞き、「暮らしの中のデザイン」として市民の生活に根付き始めている実感も感じているという。
将来的には、「西宮らしさを表現するエコデザイン展」や「小規模店舗のリブランディング」など、地域に根ざしたデザイン活動を広げていければ良いなと考えている。
住みたい街として注目も高い西宮市。
こうしたクリエイターとの協働が、さらに西宮市をブランディングしていく可能性があるのではないかと思った。
樽井研二さんは、現在西宮流が運営している「クリエイターズリスト」のメンバーでもある。
また、樽井さんのウェブサイトはこちら➡︎
編集部より
今回、改めてデザイナーのお話をお聞きしながら、ごみ袋を通じてまちを少しだけ好きになる。
そんなきっかけが、日常のなかにあることが感じられて嬉しかった。
この取材記事が、ごみ減量や分別への関心、そしてごみ出しルールの見直しへの関心につながることを願っている。
令和8年度から分別区分・収集回数が変わります!
西宮市のサイトでは、新しいゴミ分別ガイドも発信されている➡︎
同時に、説明会を要望する市民団体(自治会なども含めて)の募集も始まっている。
関心のある方は、ぜひこちらからご確認を➡︎
写真提供:樽井研二氏