2014年6月23日に文芸春秋社から「恵恵 日中の海を越えた愛」という一冊の本が発行された。
実はこの本の内容は、関西学院大学が一つの舞台となっている実話が元になっている。
中国からの女子留学生・恵恵 (フィーフィー) が関学で 一人の日本人の青年と知り合う。その翌年、二人の結婚式が二か月後に迫った時に彼女は自身が乳がんであることを知ったという。
乳がん治療のために延期された結婚式は、2007年に関学のチャペルで行われたが、恵恵は残念ながら2011年にこの世を去ることになる。
今回発刊された『恵恵 日中の海を越えた愛』は恵恵の母親の付楠さんの手記に、夫であり今も中国に住む健太さんの手記を一冊に編集されたもの。日中間の関係がとても厳しかった2004年から2011年の7年間の二人とふたつの家族の物語が描かれている。
西宮市在住の神戸国際大学教授である作家・毛丹青さんは、「『恵恵 日中の海を越えた愛』に寄せて」の中で下記のように締めくくっておられる。
「2004年から2011年、恵恵と健太の純愛物語は日中両国の関係が一番緊張した時期の出来事だった。しかしだからこそ、新刊本『恵恵 日中の海を越えた愛』を編集したのにはある明確な理由がある。私は草の根のような弱くて小さいけれども強い生命のことを日本の読者のみなさんにぜひ知ってもらいたかったのだ。そして、日本と中国、ふたつの国の相互理解を考えるきっかけにもなってもらいたい。新刊本の序文を書かせてもらったのもそれが言いたかったからだ。」