パン・ド・ヴィエルジュ

この記事は「Wow!」のメンバーが執筆・編集しています。タウン情報誌「あなたのまち にしのみや」に書き切れなかった取材のこぼれ話をメインにタウン情報誌完成までの制作秘話をお届けします。

香櫨園の住宅街にあるベーカリー『パン・ド・ヴィエルジュ』さんを取材しました。

筆者は、ある理由から同店を「幻の名店」と呼んでいます。

その理由は後ほど語りますが、まずは紙面に載せられなかったパンのご紹介から。(※パンの価格は取材日当時のものです)

茄子ときのこのアヒージョ

『茄子ときのこのアヒージョ』

全粒粉入りのフォカッチャ生地は、ほどよい弾力で具材と一緒に食べやすい。

ズッキーニの歯ごたえもよく、野菜とキノコ、ガーリックの旨味が出たオリーブオイルがフォカッチャにしみこみ、ほのかなマスタードがアクセントに。深みのある大人の味。

このパンがなんと170円。安すぎませんか…。

フレッシュトマトとベーコンのフォカッチャ

『フレッシュトマトとベーコンのフォカッチャ』

丸ごと焼かれたプチトマトの甘みとベーコンの塩気が最高にマッチング。これもまさかの170円。ウソでしょ…?

クリームパンと桃あんぱん

お店の一番人気『クリームパン』と、お店のおすすめ『桃あんパン』

クリームパンは、「正統派クリームパンという括りにおいて、これ以上のクオリティのものを作るのは不可能では?」と言えるおいしさです。 問題は桃あんパン…。見た目は桃の形でかわいいけど、はたしてお味は…

これ…メチャクチャおいしいですよ!!

桃あんとマスカルポーネチーズが中に入っていて、表面には桃の香りがするパウダーがかけられています。

よくある人工香料のような味ではなく、本当に「桃」のフルーティーなお味。とってもジューシー&爽やかで、口に入れると初夏の風が吹き抜ける…。

この組み合わせ、天才だよっ! 食べたことのないおいしさのパンに、驚くこと間違いなし。

プレーンベーグルとショコラメロンパン

続きまして、『プレーンベーグル』と『ショコラメロンパン』

ベーグルについては説明不要でしょう。安定のおいしさです。

で、ショコラメロンパンです。これ、単に生地がショコラっていうだけではないのです。

中にチョコチップ、オレンジピール、くるみが練りこまれており、

ビターな生地と、チョコチップの甘さ、オレンジピールの風味、くるみの食感…それらが混然一体となり、複雑で変化に満ちた味わいが、我々を深い陶酔へといざなうのです。

もはや色気すら感じてしまう大人のメロンパン。お値段は160円。こんなに凝っているのにナゼ? せめて名前を『プレミアムショコラメロンパン』に変更しては…?

お土産としていただいた試作品

取材日、試作段階の商品をお土産に持たせてくださいました。良い人すぎる…。

可愛くて食べるのがもったいない!!

自分で買った『二種のオリーヴとウインナーのフォカッチャ』と共に頂きました。

しっとりフンワリでおいしい『二種のオリーヴとウインナーのフォカッチャ』は110円という衝撃価格。

それでは、『パン・ド・ヴィエルジュ』とは、どんなお店なのか?

  1. どのパンも感動レベルの美味しさ
  2. あたたかい接客
  3. 価格がハンパじゃなく安い

この三つの条件を備えた「奇跡のお店」… それが『パン・ド・ヴィエルジュ』です。

考えてみてください。上記の条件のうち、一つか二つをクリアしている店はたくさんあります。しかし、三つすべてを備えている店は、非常に稀といえるでしょう。

しかしながら…

筆者は約五年前にこのお店を初めて訪れて以来、そのパンのクオリティとお店の姿勢に惚れこみ、つねに恋焦がれながらも、ここ二年間ほど、訪れることができていませんでした。

それにはわけがあります。

『パン・ド・ヴィエルジュ』のもつ唯一にして致命的なハードル。それは「営業時間」…。

土日祝がお休み。つまり営業時間は平日の昼間のみ。(現在はコロナの影響もあり13:00~17:00)

そう、土日休みの勤め人にとって、ほぼ来店不可能な営業形態。しかも、一日に焼かれるパンの数も多くないため、夕方にはほぼ売り切れている…。

買いたいのに、買えない。

愛したいのに、愛せない…。

そんなやるせなさと愛憎が入り乱れた感情、そして、「何故ここのパンはこんなにも美味しくしかも安いのか? なんで土日の営業してくれないの?」等々の疑問…

さまざまなものを胸に抱え、取材に向かいました。

そして、そこで得た答え…。

まず言えるのは「お店がもつ様々な事情と葛藤の中で、精一杯頑張ってくれている」ということ。

製造責任者である城石さん。やはりと言うべきか、飛びぬけたパンオタクでした。(※リスペクト表現です)

私は同店のパンを食べるたびに、斬新かつ上品&控えめに工夫されたパンの一つ一つから、並々ならぬこだわりを感じ、

「このパンを作っている人は、強い情熱を持ちつつもそれを計算し抑制する術を知る、円熟した職人にちがいない」

と勝手に思っていました。

実際にお会いした城石さんは、非常に腰が低く、こちらが恐縮してしまうほど礼儀正しい方でした。

が、パンの話を始めると、彼の瞳は少年のように輝きはじめ、その口調にも熱が…。

そもそもパンが大好きで、昔からあらゆるお店のパンを食べ歩いていたという城石さん。最近の新しい試みや発見について楽しそうに話してくださるのを聞きながら、「この人、パンが好きで好きで仕方ないんだな(^^)」と感じました。

城石さんにとってパン作りは、単なる仕事を超えて、情熱であり生きがい…

しかし、だからといってエゴを前面に出すようなパン作りには走らず、あくまでお客様目線でバランスを考えたパンを作って下さっている。

神様…。

『パン・ド・ヴィエルジュ』のパンには、城石さんのパンへの情熱と人柄、それがそのまま表れている。

こだわりが詰まっていながらも、気取らず、嫌みのない、親しみの持てるパン。洗練されながらも純真なヴィエルジュ(乙女)…。

深く納得しました。

また、ベーカリー業界におけるワークバランス改善の動きについてのお話を伺えたのも、興味深かったです。

パン屋さんというと「朝早くから仕込みをして遅くまで働く」というイメージ、ありますよね。

現実もその通りで、これまでは、自分の時間を犠牲にして働くのが当たり前…という世界だったそうです。

しかし城石さんは、コロナ禍での営業時間短縮を機に家族と過ごす時間が増えたことで、ワークバランスについて改めて考え始めたとのこと。

私は正直これまで、己の欲望しか頭になく

「頼む、土日どっちか営業してくれ!パン買わせてくれ」と思ってしまっていましたが、

パン屋さんの労働環境が健全になるのは、顧客にとっても望ましいことです。

なぜなら、労働環境がブラックなままでは、パン屋を志す若者も減り、人手不足になり、ますますブラックになっていく。

最悪の場合、閉店してしまいます。

私が一人のパン好きとして、すべてのパン屋さんに対して願うのは

「おいしいパンを作り続けてほしい」「パン屋さんを続けてほしい」ということ。

そのためには、健全な労働環境、適正価格での販売は欠かせません。

(正直『パン・ド・ヴィエルジュ』のパンはクオリティに対して安すぎると思いますが…)

取材を経て深く納得した筆者は、後日、プライベートで改めてパンを購入。

先述したように、そもそも買えるチャンスが少ない貴重なパンなので、買えた時点で「ハハハハハ…」という勝利の哄笑がこみあげてきます。

そう、ここのパンを買える人って、はっきり言って、超絶ラッキーな選ばれし民なんですよ…。

もしもあなたが、パンが好きで、かつ『パン・ド・ヴィエルジュ』に行ける環境にあるなら、

親切心から申し上げます。

行ったほうがいいですよ!!!!

店舗情報

パン・ド・ヴィエルジュ

電話:0798568309

メール:pain_de_vierge@kind.ocn.ne.jp

所在地:兵庫県西宮市弓場町1-9ソレア香櫨園1F

アクセス:阪神電鉄本線 香櫨園駅より西へ徒歩6分 / JR東海道本線 さくら夙川駅より徒歩14分

スタンプラリーはじまります

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投稿日時 : 2022-06-29 12:00:00

更新日時 : 2022-06-30 14:02:50

この記事の著者

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