『パラアイスホッケー』とは、下肢に障害にある方のアイスホッケー。
選手はスレッジ(専用のソリ)に乗ってリンクを滑りながらパスやドリブルでシュートを放ちゴールを奪い合う。
一度に6人(プレーヤー5人、ゴールキーパー1人)の選手がリンクに居るが、かなり消耗の激しいスポーツなので、プレーヤーはどんどん交代しながら 15分×3ピリオドの45分間を戦う。
選手たちは2本のスティックを駆使して氷上を移動したり、シュートを打ったりする。
2018年にひょうご西宮アイスアリーナを拠点とする西日本初のパラアイスホッケーチーム「ロスパーダ関西」➡︎ が誕生した。
現在、大阪や兵庫、遠くは滋賀から14人のメンバーが集まり、月に一度の練習を行なっている。
鳴尾浜にある「ひょうご西宮アイスアリーナ」は昼間は一般開放もしているが、フィギュアスケートの坂本花織選手や田中刑事選手、ショートトラックの横山大希選手なども練習場にしている施設。週末は、アイスホッケーチームの練習も多いようだ。
一歩アリーナに足を踏み入れると、冬の外気の寒さよりまだ冷たい空気。
この日は、いつものロスパーダ関西のメンバーだけでなく 「東海アイスアークス」 のメンバーがビジター参加していた。
いつもより人数が増え、準備するメンバーもどこかテンションが上がっているように見える。
慣れた手順で、次々とスレッジに乗り換えて時間を惜しむようにリンクへと飛び出していく。
『ロスパーダ関西』を率いるのは、 パラアイスホッケー⽇本代表アシスタントコーチを兼任する 町井清監督。
「偉そうに指導していますが、私はスレッジには乗れないんです。」と、笑いながら町井監督はアイスホッケーの装備でリンクへと出て行った。
「ロスパーダ」の名前は、ギリシャ語で「勇気」を意味する「サロス」とイタリア語で「剣」を意味する「スパーダ」の造語。
2本のスティックを双剣に例え、前へと勇敢に突き進む姿をイメージして付けられたという。
もっと強くなるために、全国でも少ない他のチームとの練習のための遠征費や、パラアイスホッケーをもっと知ってもらうためにも地元での大会を開きたいと、今、クラウドファンディングに挑戦中➡︎。
現在ロスパーダ関西にいる14人の選手は小学校3年生から36歳と幅広い。
障害の度合いも、競技のレベルもまちまちで日本代表の合宿に参加するメンバーもいる。
14人の共通項は「アイスホッケーが大好き」。
『パラアイスホッケー』に出会ったきっかけも人それぞれだが、大好きな時間だからみんな真剣に練習するし、ミニゲームになると容赦はない。
氷上の格闘技・・・とは聞いていたが、スレッジが氷を削る音やぶつかりあう音、スティックがパックを打つ音がリンクに響き渡り、とても迫力がある。
冷たい空気に足元が冷えてくるのも忘れて練習に見入った。
『パラアイスホッケー』と言っても、スレッジに乗れば健常者も対等にプレーできるスポーツ。
体験も随時募集しているので、興味のある方は事前に『ロスパーダ関西』まで➡︎
『パラアイスホッケー』は冬季パラリンピックの正式競技の一つだが、日本は1998年長野大会から参加しており、2010年のバンクーバーパラリンピックでは銀メダルに輝いた。
しかし国内のチーム数も競技人口もまだまだ少ないのが、日本のパラアイスホッケー界の悩みでもある。
日本全国でもほんの少ししかないパラアイスホッケーのチーム。
だからこそ、その競技に出会った人たちは本当に楽しそうに練習していた。
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チーム結成当初から参加する莉乃ちゃんのご両親
「楽しければいい!という子なので、なかなか上達はしませんが、皆と一緒にいることが本当に楽しいようなのです。車いすバスケットボールもやってますが、アイスホッケーに出会って、これが一番楽しいようですね。」
日本代表にも召集される実⼒の14歳の樹くん のお母さん
「息子は元々アイスホッケーをやっていたのですが、交通事故で車いす生活になりこちらを始めました。最近は、日本代表の合宿にも参加しています。
2022年には次のパラリンピックがあるのでぜひ頑張ってほしいです。息子もその時には出場資格がある年齢になるので・・・・。」
作業療法士の角田トレーナー
「障害がある人がスポーツをすると、実は体にはかなり負担がかかるんですね。例えばスレッジがきちんと体にあっているかどうか、バランスはどうか・・・ということにも気を配っています。」
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