「おはなしのひととき」は、中勘介、鳥の物語より「雁の話」の4回目です。
前回までのお話は、中国の漢の時代、北の国匈奴が舞台です。最後までこの地に居残っていた雁の群れが主人公の蘇武を助けます。十九年前に漢の使者としてやってきて囚われの身となり、匈奴に降るように説得されたのを断ったために、このような人もすまないところで暮らしています。長安へ旅立つという雁に、自らの消息、生きているということを漢の朝廷に知らせてほしいと頼むのですが、雁たちにとっては人間ほど怖いものはないのです。
そこへ、旧知の李陵、今は匈奴の王がやってきたところからお聞きください。文中に、李陵が書いて蘇武に渡した漢詩があるのですが、これが読めないと・・・
径万里兮度砂漠 為君将兮奮匈奴 路窮絶兮矢刀摧 士衆滅兮名已隤 老母已死 雖欲報恩将安帰