「おはなしのひととき」は、中勘介、鳥の物語より「雁の話」の3回目です。
前回までのお話は、匈奴、北の国でのこと。最後になった雁の群れがいよいよ旅立とうと用意をしているところへ、杖を持ったおじいさん(主人公、蘇武)が、急な寒さに凍えそうになったところを、雁たちは小屋まで連れて帰ります。蘇武は、十九年前に漢の使者としてやってきて囚われの身となり、匈奴に降るように説得されるのを断ったために、このような人もすまないところへ移されたと、その身の上を語り、助けてくれた雁たちに礼を言うのです。そして、いよいよ雁たちは旅立つことになりました。その続きをお聞きください。
さて、お話の時代とその舞台は、中国の漢の時代の匈奴の地。黄河流域をはさんで北と南で、匈奴の地はゴビ砂漠からモンゴル平原あたりかもっと北でしょうか?雁が飛んでいく長安は、今の地名では西安。ちょっと世界地図を開いてみました。