高野連

あの「高野連」を訪ねてみた。高校の一つのクラブ活動を支える人たちのお話。

通称「高野連」・・・日本高校野球連盟の事務局は大阪の西区江戸堀にある。
高校野球のメッカが甲子園球場であり、春・夏にはここで大会が行われるのだから、関西にあるのは当たり前のことかとも思うが残念ながら西宮ではない。

「たくさんあるスポーツの連盟で、関西に事務局があるのはうちだけなんです。そして、高校の体育は全て『高体連』に所属しているのですが、野球だけが独自の連盟なんです。」と竹中雅彦事務局長。
「学生スポーツのあり方が世間から注目を浴びている時期ですが、高校野球は高校の一クラブの活動なんです。昔から野球は注目されるスポーツですが、決して特権意識を持たないようにしないといけません。外国人からみると高校生というまだ稚拙なプレーのスポーツに、なぜこれほどまで多くの人が熱狂するのかが不思議だそうです。でもこれが伝統なんでしょうか??和と礼儀を重んじる日本人の気質に合うんでしょうか??」

自らも野球少年であり、高校の先生として教員生活のほとんどを野球とともに歩んだ竹中さんは、和歌山の県連の理事長を経て2011年から高野連の事務局の仕事に携わられている。
2018年の今年は、春が90回、夏が100回の記念大会の年。100回記念というこの歴史を支える裏方の仕事はさぞ大変だろう。

日本高校野球連盟 竹中事務局長

リニューアル前の甲子園球場の椅子が置かれている中庭を望む部屋で

甲子園球場がリニューアルする前までは、この高野連の建て物の中に歴代の優勝旗など数々の高校野球の歴史を見てきた物が飾られていたが、今はそれらはすべて甲子園歴史館の高校野球コーナーに移されている。
高野連の事務局がある「中沢佐伯記念野球会館」は中澤良夫氏、佐伯達夫氏の名前からとってある。ともに現在の春夏甲子園大会の基礎を作った人たち。
高野連
そんな建物の中庭には、西宮にある鳴尾球場跡の記念碑に立っているピッチャーとキャッチャーの元像があったり、リニューアル前の甲子園球場で使われていたグリーンの椅子も設置されている。
ここに置かれている椅子は、バックネット裏にあった3席で、 選抜や全国選手権では主催者席として使用されていたという。 座席位置を示す掲示板とともに中庭に設置されている。
また、高野連の最上階は宿泊施設にもなっている。時にはジャパンの選手が泊まったり、大会期間中は全国から集まる審判委員の方々の宿舎にもなるそうだ。

高校野球100周年、選抜90回大会、夏の100回記念大会と次々と来る節目に当たって…

「こういう節目に立ちあえるのも運命なんでしょうね。時代と共に変えていくところは変えていかねばなりません。少子化の時代ですから、高校野球も合同チームが増えてきています。」
テレビでよく映るバックネット裏108席が、ドリームシートとして全国の野球少年たちの招待席となったり、タイブレーク制も導入されることになった。

「運動部の指導のあり方もいろいろ問題になったりしています。ことが起こってからの対応も大切ですが、未然に防ぐための予見する力が必要です。この少子化の時代・魅力あるスポーツがこんなにたくさんある時代に、野球というスポーツを選んでくれた子供達に感謝する気持ちを持っていれば、指導者などの暴力事件などもなくなると思います。暴力撲滅も言い続けていかないといけないんだと思います。」

高野連の中庭にある鳴尾球場跡地のモニュメントの元像

タイブレーク導入もいろいろな議論がされたという。
「将来のある子供達の怪我を予防するために導入しました。球数制限をするのが一番なんでしょうが、約4000校ある連盟の参加校の8割は公立高校で、満足な人数がいないチームも多いんです。そんなことも考慮して、まずは再試合をなくすために13回からのタイブレーク導入となりました。」

「女子の参加についてもよく言われますが、高校野球は決して女人禁制をうたってはいません。でも、他のどのスポーツも男女混合でする競技はないんですよね。みんな女子と男子には分かれています。今後は野球をする女子の人口が増えてきて、ひょっとしたら女子野球の組織と一緒になるということも将来的にはあるのかもしれませんね。」

甲子園の地元、西宮のみなさんに感謝

毎年、地元の自治会の方や市役所の方と打ち合わせも綿密に行われる。
「やはり、大勢の人が集まるわけですから地元の方には本当にご迷惑をおかけしていると思います。苦情もいただきますがゴミや車の量などには本当に気をつかいます。」

大会期間中は、70ヶ所に及ぶ出場校の練習場の確保や地方から来る応援団のバスのルート決めなど裏方の仕事は多い。「組み合わ抽選が終わったら、試合の時間も考えて練習場所も斡旋します。」

高野連の中庭にある 改修前の甲子園球場のシート

2000年から西宮の青年会議所(JC)の方々が中心になって作っている『西宮をPRする会』が、“夏の開会式の時の人文字”や大会期間中の出場校のプラカードと一緒に記念写真が撮れる“シャッター押し隊”などの活動を続けている。
「甲子園球場は西宮にある・・・ということをPRする活動は大切だと思います。」

高校野球200年構想プロジェクトが始動

野球の場合プロ・アマの垣根が大きかったようで、サッカーなどのように『ユースの組織』がない。少子化の今後を見込んで、高野連が毎日新聞社、朝日新聞社などと一緒に『キッズフェスタ』を始めた。
甲子園球場を使って、かつての名将が野球の楽しさを伝授しようというもの。今年から、入場料が改訂されるが売り上げも、このプロジェクトに使われる。

「高校野球は埋もれた人材の宝庫だと言われます。例えば100人を超す部員がいる強豪校には、野球部では大会には出られないけど、他のスポーツでも十分力を発揮できるという生徒も多いのではないかと思います。今の日本では、複数のスポーツを同時にするという環境ではありませんが、今後はそういうことも視野に入れていかないといけないんだと思います。」

100回記念大会の今年は、期間中、毎日の朝一番の試合に高校球児のレジェンドたちが始球式をして大会を盛り上げるという。
さあ、どの世代のどんな人たちの雄姿が見られるのだろう・・・・。

著者 : 編集部|J

投稿日時 : 2018-06-03 20:45:04

更新日時 : 2018-07-05 12:37:51

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