西宮流(にしのみやスタイル)
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西宮流 > Who’s Who > ジュエリーデザイナー 菊井一夫 さん

オートクチュールジュエリー・キクイ社長 菊井一夫さん

オートクチュールジュエリー・キクイ社長 菊井一夫さん
 宝石店がある立地…だとは思えないが、その立地には思い入れがあるのだと菊井社長。「入りやすいと言うことは、出やすいという事。それよりは、ここまでわざわざ訪ねて来て頂いた方に、ここでゆっくりと宝石と向き合って欲しいんです。」

 それほど広くは無いが、一人ずつのお客様にゆっくり向き合いたいと言うこだわりの空間。「メタリックなきらびやかさは、苦手なんです。」

 オーナー好みの優しくて温かい磨きぬかれた木の家具が、マイスターキクイの手で作られた宝石を包みこんでいる。基本的に予約制にしているという店内は、お客様を迎え入れると静かに内側の扉が閉められる。「さあ、今からはあなただけの時間ですよ~。」とでも言うように。

取材中の様子

取材中の様子

 今日の取材は、さくらFMの「SakuっとLa・ら・Ra西宮」の火曜日のパーソナリティ、ゆかやん&おしなさん達と一緒。マイクを片手に次々と質問攻めにしている横で、私は無口にメモを取った。

 「石には太陽光線が一番いいんですが、ここではハロゲンとデイライトを組み合わせて使っています。」決してスポットライトで光らせてはいないが、なんと言う輝き。
 ゆかやんおしなの二人は、それぞれが一目でお気に入りを見つけたよう…エメラルドの指輪とパベセッティングの指輪。

 二人の興奮をさらりと受けて、菊井さんが話し始めた。

まばゆいばかりの宝石。
まばゆいばかりの宝石。
みんな菊井さんの子ども。
 「石も、あちこちの産地によってその特性が違います。それらの性質を知り尽くした上で、その石の持つ一番の輝きを引き出すのも、職人の技です。」

 その石のよさが一番引き出せるデザインを考え、一つ一つ丁寧に仕上げていく。石の周りの地金を裏側まで丁寧に磨き上げることで、主役の石達が一段と輝きを増す。菊井さんがめざすのは、デザインを表現するための石ではなく、その石をどれだけ美しく輝かせるかを第一に考えたデザインで、自らの技術で作り上げる。

まばゆいばかりの宝石
 高校生の時に交通事故に合い九死一生を得たが、2年間の入院生活で15~16回の手術に耐えた。大好きだったスポーツが出来なくなった時、まるで偶然の出会いで宝石店の職人となったと言う。「きっかけ…は、今考えても分からないんです。でも、この仕事をやり始めてこれが自分にとって天職だと思ってます。」

 一つは、職人の地位向上を目指したいと言う菊井さん。

 この立地で、菊井さんの感性で作り上げられたジュエリーたち…「ブランドは???」と尋ねられる事もしばしばあると言う。

 「ブランドって言うのは、元々牛の焼印のことなんです。私が作るジュエリーはキクイブランドです。皆さんが思っておられるのは、単なる知名度なんだと思います。」

KIKUI KAZUOブランド KIKUI KAZUOブランド
 ニューヨークで初めて個展を開いてから、今や世界のセレブ御用達にもなっているキクイブランド。それでも「なぜ東京で店を開かないのか??」と聞かれるらしい。

 「今は、本質を見る目が失われている時代です。自分の直感で、美しいものを大切にして欲しい。東京オリンピックのとき、9.99という、1/00秒を刻む時計が出たときは衝撃でした。でもね、今は100均で売っている時計ですら1/00秒を刻みます。それは文化が文明に変わったんです。伝統と文化は守り通さないといけないと思っています。ですから、私はここからキクイブランドを発信していきます。」

 ブランドとはこだわりであり、こだわりから外れたとき単なる知名度になると言う菊井さんの言葉は私の心を貫いた。

 いいものを適正価格で提供したいから、一人で何役もこなしてお客様に届けたいと言う。

おしなさんのデザイン帳を見ながら… おしなさんのデザイン帳を見ながら…
 「それにお客様が作って欲しいデザインは、間にたくさんの人が入ると正確には職人にまで伝わらないでしょう~。目の前でお話しできるから、客様の希望がデザインに反映できるんです。」

 おしなさんが、恐る恐る自分のデザイン画を菊井さんの前に…。
「発想はとてもいいと思いますよ。独創的ですね。こっちは指の大きさから言うと無理ですが、これは面白いと思いますね~。」じっと見ていた菊井さんの目が笑っていなかった。

エプロン姿で職人の顔になった菊井さん エプロン姿で職人の顔になった菊井さん
 まばゆい光の中でお話しをお聞きした後、2階の仕事場を見せていただいた。そこには、エプロンをかけて職人の顔になった菊井さんがいた。

出番を待つ道具たち 出番を待つ道具たち
ドリルの穴を、糸鋸で… ドリルの穴を、糸鋸で…
 殺風景な…とも思える工房は、しかし菊井さんの手に合う道具たちが並んでいる。手元にあるのはまるで、歯医者さんの道具のようなドリル。

 「石を光らせるためには、ダイヤを受ける穴の裏側も側面も磨き上げます。それはとても時間もかかることですが、それが石を輝かせる命なんです。最後は絹糸で磨きます。」

 職人と言っても、原型を作る人、石を止める人、組み立てる人、鋳造する人、磨く人…それぞれ得意分野があるようだ。原型を作れる人は10人に一人。菊井さんが一番得意な分野だ。

 「最高のものを見てください。そして自分の目を肥やしてください。そして情報に躍らせられることなく、自分の美しいと感じたものを大切にしてください。」

 エクセラントジュエラーとして選ばれた菊井さんだが「まだまだ社会的な地位が確立されていないから、こんなところで仕事をしていると胡散臭さを感じられるようですね。職人の地位を上げたいです。そのためにも、子どもたちに物づくりの世界を知って欲しいんです。」

 「勿論、リフォームも引き受けます。結構多いですよ。お預かりした石が輝きをましてお手元に戻った時のお客様の感動の顔を見るのはうれしいですね~。」

ラジオ情報
 取材の様子が、さくらFM(78.7MHz)でオンエアされます!!
 放送予定日:2008年2月12日(火)12時20分頃~

掲載日:2008年2月19日

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