能は、室町時代に大成された日本の伝統舞台芸能。世界無形遺産、重要無形文化財に指定されている。
観世流・シテ方の上田家。上田拓司さんは、4兄弟の次男として生まれた。「シテ」とは、舞台で中心となって歌舞をする人物。シテ方である上田家は、シテ (主人公)、ツレ(シテの助演者)、地謡(音楽)などを担当する。五流のシテ方のうち最大の流派で、やわらかく、華やかな芸風を持ち味とするのが、観世流だ。
亡父・上田照也氏に師事し、幼いころから能の技術を学んだ上田さん。2歳8か月で初舞台、9歳で初シテとして舞台を踏んだ。
能の習得は、声の出し方、動き方に始まり、謡、型を覚えて、舞台上で間違わずに演じることが基本。「まず基礎を徹底的に学び、教わった通りできるようになること。皆でつくる舞台では、一字一句の間違いも許されません。やがて、もっと美しく立ちたい、きれいな声を出したい、力強い動きをしたいと思うようになります」。

外の光が感じられるおけいこ場。磨かれた舞台が神聖な空気をかもし出す瓦照苑
世阿弥の言葉では、師に型を似せている段階で、自分のものになっていない芸を「無主風」といい、芸を自分のものにして体と一体になる状態を、「有主風」という。
「その過程は、ほかのどんなことに置き換えても大切なものだと思います。とくに、物語の主人公的役割の「シテ」は、演者自身の思いが色濃く表れるもの。
『この人物はどう考えているんだろう、もしかしてこう感じているのではないか・・・』と考えることが、自分自身の成長になります。
そして、自分の人生で大切な人との出会いや子どもの存在、社会との関わりやさまざまな経験によって、演じる上での視野が広がってくるものです。」
炎の明かりで幽玄さが増す、夏の夜にぴったりのイベント!
西宮薪能
■ 9月21日18:30~
■ 於、越木岩神社
■ 入場無料
毎年、この日に行われます。詳しくはホームページで ⇒