株式会社安藤製作所[優良事業所顕彰]

技術力・研究開発力の優れた西宮の企業を応援する優良事業所顕彰。受賞企業を西宮流が取材しました。

優れた技術の応用力ニシノミヤ テック プライズ2015

『熱硬化性樹脂の多層巻などの付加価値の高い加工・成形技術』

受賞事業所概要

昭和13年創業以来、75年以上に亘り、プラスチック製品の発祥であります熱硬化性樹脂製品製造を行ってきました。
材質に対する信頼性は高く、機械的強度も優れている「熱硬化性樹脂」の分野において独自技術であるシート状の原材料を何層にも巻いて成形する多層巻を始めとする加工・成形の難しい技術は、職人の目利き技術などにより支えられています。
そうした技術で製造された製品は、商品発注企業の少量多品種のニーズに幅広く応えています。
また、高齢化により同業者の廃業が増える一方で、そうした業者の事業を承継し、併せて自社の若手技術者の育成にも力を入れることで業界の技術を守り、ものづくりを支えています。

主な業務内容

プラスチック製造加工業、熱硬化性樹脂成形


熱硬化性樹脂とはプラスチック製品の発祥であり、今もその熱硬化性樹脂の製造にこだわっている創業80年に近い会社が西宮にあると知り「下町ロケット」のテーマソングを頭に浮かべながら取材に行った。

まだお若い三代目の加藤武史社長に、まずは熱硬化性プラスチックについて教えていただいた。「今や、プラスチックといえば熱可塑性といって、熱を加えれば、柔らかくなり変形しやすいものが主流です。そっちの方がリサイクルもできますのでね。この熱硬化性プラスチックは元々、プラスチックの発展の元なんですが、今ではプラスチック製品の1割程でしょうね。熱硬化性のものは部品の中に組み込まれることが多く、なかなか普段の生活ではお目にかかりませんが、鍋の蓋とか取手とか・・・といえば、分かり易いですかね?」

熱硬化性プラスチックは自動車をはじめ、乗り物の軽量化を図る中で重要な役割を果たしてきたが、今ではプラスチックの1割でしかないという。「本当にニッチのニッチの世界ですよ。廃業される会社も多く、そんな会社の機械を譲っていただいたり、そのお客さんを引き受けたりしていますが、『この値段では到底無理!』っていうことも多いです。とても手間暇かかる仕事なんですが、この業界のPR不足なんでしょうね〜。なかなか理解していただけないことも多いですね。

今テレビで放映されている『下町ロケット』を見たら、もう涙・涙です・・・笑」
5人兄妹の末っ子・三男の加藤さんが社長を継ぐことになったのは10年ほど前。「東京でサラリーマンをしていましたが、親の会社を継ぐために帰ってきたのは震災の直前でした。弊社にとってあの震災は大きな影響でした。長年会社を守ってきた父親の代のような仕事のやり方では時代の流れに追いつけずとても持ちこたえられません。そう言いながら、私も同じようなやり方かもしれませんが、従業員人数も最小限度でやってます。」

工場は本社場所と神崎川工場の二ヶ所。多品種小ロットの製作を引き受けるので、部品や金型も1日に何度も変えるという。それぞれ熟練した技術を持つ社員が、そのアイテムごとに不良品を少なく完成品を仕上げるための工夫を凝らす。

「最近は、プラスチック=熱可塑性 という感じになっていて、自動車の軽量化には欠かせなかった熱硬化性樹脂の存在を知らない方も増えてます。大手の会社の方が見学に来られて『こんな樹脂製品があるんですね〜』という反応があってびっくりすることもあります。こういう経験をするたびに、私たちがいかにPRしてこなかったかと反省しています。今、自社のホームページも変えようと思っています。いろんな方に検索して見つけてもらわないといけませんから。」

ロボット化も視野に入れるが、導入には経費もかかる。今回の優良事業所顕彰の受賞概要にもあるシート状の原材料を何層にも巻く多層巻加工も熟練工の技が必須。
熱可塑性プラスチックと違って、不良品はすべて産業廃棄物となる熱硬化性プラスチックは、今のエコの世の中では肩身の狭い存在ということなのかもしれないが、なくてはならないものでもある。

「時間を見つけてできるだけいろんな場所に出かけてPRしようと思っています。熱に溶けない硬いという特性のプラスチックの存在を知って、これまで金属の部分を樹脂に変えたいというお話も聞きます。地場産業同士の交流会なども必要だなと思います。最近、材料メーカーさんが旗を振ってくれて『熱硬化性を考える会』を開いています。親父の代だったらライバル同士なのでこんなことは実現しなかったと思います。でも今は、技術があるところ同士が交流してお互いの技術を知り、お互いの得意分野を知ることで仕事を回しながら、熱硬化性の特性をPRしていったらいいんだと思っています。」

現在10歳と8歳の娘と5歳と3歳の息子の四人の子供を持つ加藤さん。「自営業は大変です。特にこんなニッチ産業では・・・。でも自営業ならでの楽しさも持たないとやっていけませんし、次の世代に次いでもらえる会社にしたいと思っています。」
西宮商工会議所や行政のものづくり支援などの情報もキャッチして上手に活用し、新たなことにも挑戦して行きたいと、とても前向きにいろんなお話を聞かせていただいた。

株式会社安藤製作所
株式会社安藤製作所
  • 住所:兵庫県西宮市中屋町10-17
  • 電話:0798-74-0556
  • 代表取締役:加藤武史
  • ホームページ:https://andou-ss.co.jp/

投稿日時 : 2016-01-26 11:14:40

更新日時 : 2023-11-14 15:16:35

この記事の著者

編集部|tacoo

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