中小型の精錬装置や小型高温炉の製造
アーク炉、炉外精錬装置、抵抗式電気炉等の技術的特許を各種取得している。主に特殊鋼業界や鋳鋼業界において知名度が高く、多数の実績を有している。通常、アーク炉設計は大手が手がけているが、小企業で設計を行い、特許を取得している企業は兵庫県内にはない。
会長の浦山基郎さんと社長の大介さんにお話を伺った。
後の壁にかかっていた創業者のお写真も合わせて、一目で親子だと分かるお顔立ち。
基郎さんと大介さんのお二人共が「イヤ~、似ているといわれるのはあまりうれしくないですね・・・」と声をそろえた。
そんなご挨拶から始まって、まずは会社の歴史についてのお話を会長さんからお聞きした。 」
ベイテックの前身は、大正4年に現社長のおじい様が電気炉に関する”牛尾製作所”として創業した会社。
電気炉の設計としては、当時は日本で2社しかなく、その一社は大同特殊鋼という大きな組織の中の一部署だから、専門としていたという事では日本で一社。
戦前から戦中にかけては製造もやっていた会社だったようだ。
「特殊鋼の部門は、昔から電気炉を使っていました。特殊鋼というのは、戦前は武器を作るためのものであり需要も大きかったんですが、反対に敗戦後は特殊鋼は武器を作るからということで、閉鎖せざるを得ない時期もあったんです。」と基郎会長。
「昭和30年代になって、ようやく”牛尾工業”として再出発しました。」
その後は、高度成長の波に乗ったが、昭和39年の大不況で閉め “浦山製作所”として新たに出発した。
しかしバブル崩壊後、これからの新しい方向を考えた時、製作はせずに設計を中心にやっていこうと”ベイテック”と社名も変更したのが平成11年。
「自分の名前を会社名にするのはあまり良くないと、今度はまったく名前を変えました。今風にね!」と大介社長さん。
「経営者が努力しても、太平洋の荒波のような所を小船で乗り切るのは大変ですよ!」と会長。
協力会社があり、お客様があり、売りと買いの両方でサポートしてくださる方があって成り立っているんですよ・・・と話される柔和な会長さんのお顔が、ベイテックの経営理念を物語っているように思えた。
建築用の丸棒などは普通鋼といい、高炉で作る。鉄鉱石(酸化鉄)から酸素を取るためにコークスを入れて高炉の中で燃やし、銑鉄となり、さらにその銑鉄からカーボンを取り除くために転炉に入れ、酸素を加えて酸化させてカーボンを取り鉄ができる。
それに比べ、電気を熱源として利用した電気炉で、スクラップから造る特殊鋼は、最高のリサイクル設備なんだと教えてもらった。
ステンレスも特殊鋼の一つ。例えばかみそりの刃やワイヤーロープなど、これらの特殊鋼はスクラップが原料で造られていく。
「実はね、日本は鉄の資源を豊富に持っているんですよ(笑)。どんどん鉄鉱石を輸入して、鉄の製品を作っていますが、これはいずれスクラップとなって、また使われていくんです。
つまり、日本は、土の上に鉄という資源が山積みになって行くというわけです。」
なるほど、電気炉の需要はますますあるということになる。
「でもね、図面をもって、いわゆる3Kの所に行くんですから、仕事はきついですよ。」
ベイテックは、中型の精錬装置や小型の高温炉の設計を手がけている。
ガス炉だと1100度止まり。燃やすためには酸素が必要だが、空気中の酸素は25%で後の75%は窒素。
「ですから、空気と化石燃料を使っているのは非効率なんですね。」
それに加えて、電気炉の方が制御もしやすい。
「例えば、陶芸用の電熱炉だと30センチくらいの空間を1300℃くらいまで上げられます。」
電気も風力や太陽光などが使われていき、スクラップから製品が生まれていくというエコのサイクルに貢献していく分野。
「僕はね、通勤電車が嫌いなんです。」
と笑いながら会長。
おかげで、住居は会社の近く。
「もちろん僕は、宮っ子ですよ。」と大介さん。
「きつい仕事ですよ!!」と言いながらも、社会に貢献している仕事に、大きな誇りと夢を持っておられる事が伝わってきた。


住所:兵庫県西宮市西宮市甲子園口4丁目
電話:0798‐68‐5656
社長:浦山大介