画像処理(マシン-ビジョン)分野における特殊レーザー光源の開発製造技術
新たな機能・性能を有する製品を創造するため、既存技術のシステム的な配置に特に力を注いでいます。その技術力を示すものに「輝度均一ライン光源」があります。単レンズやプリズムを組み合わせて、細い糸を引いたようなレーザー光線の投光を可能にしました。この光源を用いて形状等をデジタルデータでとらえると、種々の画像データの加工が可能になります。「画像処理装置向けレーザー光源」の国内シェアは80%以上。製造方法でも、今までのノウハウを組み合わせて独自性を図っています。
「画像処理分野における特殊レーザー光源の開発製造技術」という表彰理由の書類を持って、中島町の会社を訪ねた。
ドキドキしながら訪ねた私を満面の笑みで迎えてくださった五味秀樹代表取締役。「大丈夫ですよ。私も文系ですから分かりやすく説明しましょう(笑)」
昭和50年に会社が設立された時には、今とは全く違う建築施工の業務内容だった。「その頃、アメリカから工場専門のプレハブ工法が入ってきたんですね。
いち早くその施工資格を取得
して施工にあたっていたんですが、段々と
建築のための機械を作るようになって
いったんですね。」
建物を造る時に必要な水平や垂直を測る機械を開発するのに、まだ当時実用初期段階であったレーザーを利用して「自動鉛直器」の開発に取り掛かったのが昭和62年。
その頃から段々と
「可視光半導体レーザー応用製品」
の開発・製造・販売へと業務内容が大きく変わっていったという。
建築部門を廃止したのは平成6年。その時にキコーからキコー技研へと社名も変わった。
「キコーというのは、漢字で書けば機構です。
システム立てて考えよう
という、先代社長の考え方から社名になったようです。」
今では「あなたの必要な“光”をつくります」というキャッチフレーズでお客様一人一人の
ニーズに合わせたレーザー応用製品
を作っている。
「国内で5社ぐらいでしょうか。この業種は輸入品も多いですから、他所がしないこと、真似できないことをやらないと生き残れないわけですよ・・・。本当に、ニッチのニッチのところを狙っています。」
終始、優しい笑顔で説明して下さる五味社長。
レーザーと言って、私が真っ先に思い浮かぶのは、怪獣物の○○ビームやレーザーポインターなど。
後はCDやDVD、ブルーレイ、それにバーコードリーダーや宅急便などでピッと情報を読み取るものなど等があるが、キコー技研の得意範囲は
「画像処理分野の特殊レーザー光源」
人間の目に変わってレーザーで検査するための光源をつくっている。検査ラインに入れてカメラとレンズの組み合わせで三次元のミクロンの世界を測る。
社内を案内していただいたが、皆さん一人一人が全く違う製品を作っている。ラインで大量に同じものを生産するというのではなく、クライアントの求める光源を半導体のレーザーを使って作り上げていく。
測るものが違うから、その光源もまたそれぞれに違ったものが求められる。
「製造業は、ただ設計図どおり組み立てるだけではダメだと思うんです。
手を動かしている事から見えてくるアイディアが大切。
それを積み重ねて自分で考えることが製造業でも必要だと思いますね。」
「あなたが望んでいる事をやります・・・と言っているので、お客さんの方から様々な情報を教えてもらえるんです。そうしてお客さんが望んでいることが分かると、それはまた次の開発に繋がるんですよ。」
自分で考えないといいものは出来ない。
一人一人がお客様のニーズを実現するための工夫が必要!!・・・という力強い五味社長の言葉が印象的だった。
