西宮流 > にしのみや一品入魂ものがたり > 『不入流』の染み抜き [1]



クリーニング屋の息子として成長した古谷さんが、お父さんの後を継ごうと決めた。
「ここに落ち着くまでは、いろいろ回り道して来たんですよ~」傍らで仕事をしながらお母さんが笑う。
お店で働きはじめてしばらくたった頃、あるお客さんから「このしみは何で落ちなかったの??」と聞かれた。そしてその時に何も答えられなかった自分がいた。
普通にクリーニングをしていく中では、落ちないしみもあった。
もちろん事前に、お客様には取れないこともある・・・と説明をしているが、改めて「何で??」と聞かれて何も答えられなかった出来事が、古谷賢一さんの転機となった。
「あの言葉が、自分にとって岐路になりましたね。」
クリーニング屋さんは、単に汚れを取るということだけでなく、その服への思い入れや服への思い出という人の気持ちも預かる・・・そのことを実感した。
「主人が仕事を覚えたのは、先輩から技を盗め・・・という時代ですから、今とは全然違いますよね。」こんなお父さん、お母さんの仕事の背中を見て育った古谷さんが、お客さんの何気ない一言から、「染み抜き」について考えはじめたとき、真剣に汚れと向き合う覚悟が出来たのだろう。
近々、クリーニングの機械を新しい物と入れ替える。
「環境問題にも、私たちも厳しく捉向き合わないといけない時代ですからね~。」
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