技術力・研究開発力の優れた西宮の企業を応援する優良事業所顕彰。受賞企業を西宮流が取材しました。
地元の歴史的背景・地域特性を配慮した企画力や技術力、建築の「見える化システム」の構築
昭和48年創業以来、40年以上に亘って建築設計監理業を地域に根ざして営んでいます。
『建物の見える化システム』は、建築前に建築物に必要な設計内容、建築材料、各種工法、監理方法、点検内容等を明確化し、価格体系を明示・適正化することで建築主の理解を促進し、納得いく品質を保持して施工側に発注できるシステムです。
また、このシステムで兵庫県の経営革新計画の承認を受けており、経営体質の改善にも積極的に取組んでいます。
建築という分野は、地域性が大きく影響します

西宮で育ち、現会長の跡を継いだ平田裕之社長は2010年度西宮青年会議所・第60代理事長も勤められ、西宮への思い入れもことのほか強い。
そんな平田社長が率いる平田建築設計が手がけるのは、個人住宅から集合住宅、公共施設までと幅広い。耐震診断や不動産の調査、鑑定も引き受ける。
建築の設計・監理という仕事は、最低3~5年のお付き合いになる重要な役目を担うが、近年、個人の建築設計事務所というのが急速に数が減っているという。それ程厳しい業界なのだろう。
「建築という分野は温度、風、気候など、その地域性が大きく影響するんです」
西宮に建てる建物だから、西宮の特徴を出来るだけ具現化したいと、その建物が建つ地名の由来や歴史を入念に調べる。
こんなこだわりが顧客からの満足度があがり、信頼を得てきているのだろう。
今回の受賞理由の一つとなっている酒蔵をイメージしたデザインの市営住宅の受注も、石在町の由来や歴史、宮水の水脈研究もして工事の提案を行った。
地域を知り尽くした地元企業だから、地域のニーズにこたえられる

「PFI方式やデザインビルド方式と言われる提案型の競争は、提案する方の負荷も大きいんです。だからこそ、いい提案をしなければなりません。単に値段の問題ではなく 地元に暮す者として、その空気感をその提案の中に盛り込んでいるつもりです」
例えば、道路の込み具合一つにしても調査だけでは分からないことが設計に組み込まれていく。これが地元の強み。さらにその上に土地の歴史を調べ、古地図も紐解く。

「地元のタバコ屋のおばちゃんは貴重な情報源なんですよ」と笑いながら教えてもらった。
新しく建つ物が地域の人達にとっていいものであればそれが一番。
だからこそ地域特性が重要になる。
「反面、新しい物にも取り組んでいかないと 顧客満足度は上がりません」
青年会議所で培ったリーダーシップが社長となった今役立ち、活動を通して出来た幅広い年代の方々との交流が仕事にもプラスになっている。
「西宮市が活性化したらいいし、企業もその中で一緒に成長していけるんだと思います。そのためにも、私も地元企業の一員として頑張ります」
建物の見える化システムに取り組んで

「設計士とはパタンナーだと思います。個人の自由な思いを実現するために設計・施工するのですが、自由すぎてお客様には見えにくくなってしまうんですね。
既製品のプレハブなら、ツーバイフォーとか鉄骨とか木造とかで、何となく分かりやすくなるのでしょうが」
業務的な面での見える化、材料の面での見える化…とても大変な事だが、これをしていかないと顧客満足度は上がらないだろうと言う。
「我々の仕事に同一条件のの設計はありません。標準化するのは大変な事です」
と言いながらも平田社長にはきっと目指すべき先が見えているのだろう。
新しい建物が次々と建設される西宮だからこそ、地元企業にもがんばって欲しい。


- 住所:兵庫県西宮市戸田町5番16号
- 電話:0798-36-4510
- 代表取締役社長:平田裕之
- ホームページ:https://www.hiratanet.co.jp